アークタンジェントは、タンジェントの逆関数であり、tan(x)=aのとき、x=tan^{-1}(a)となる。この逆関数には、加法定理が存在する。
アークタンジェントの加法定理とは?
アークタンジェントの加法定理とは、arctan(a)+arctan(b)=arctan\left(\frac{a+b}{1-ab}\right)である。この定理は、a,bがどのような実数でも成り立つ。
アークタンジェントの加法定理の導出方法
アークタンジェントの加法定理を導くには、まず、tan(arctan(a)+arctan(b))を求める必要がある。
ここで、tan(x+y)=\frac{tan(x)+tan(y)}{1-tan(x)tan(y)}であることを利用する。
arctan(a)+arctan(b)をx,yに置き換えると、
tan(arctan(a)+arctan(b))=tan(x+y)=\frac{tan(x)+tan(y)}{1-tan(x)tan(y)}
となる。ここで、x=arctan(a), y=arctan(b)であるから、
tan(x)=a, tan(y)=b
となる。これを代入すると、
tan(arctan(a)+arctan(b))=\frac{a+b}{1-ab}
となる。ここで、両辺の両端にarctanを適用すると、
arctan(tan(arctan(a)+arctan(b)))=arctan\left(\frac{a+b}{1-ab}\right)
となる。左辺は、定義より
arctan(tan(arctan(a)+arctan(b)))=arctan(a+b)
となる。これより、
arctan(a)+arctan(b)=arctan\left(\frac{a+b}{1-ab}\right)
が成り立つことがわかる。
アークタンジェントの加法定理の例題
例えば、arctan(2)+arctan(3)を求める場合、
arctan(2)+arctan(3)=arctan\left(\frac{2+3}{1-2\times3}\right)=arctan\left(\frac{5}{-5}\right)=arctan(-1)=-\frac{\pi}{4}
となる。
アークタンジェントの加法定理の応用
アークタンジェントの加法定理は、三角関数の式を簡単にするために用いられることがある。
例えば、三角関数の積の公式であるsin(x)cos(y)=\frac{1}{2}(sin(x+y)+sin(x-y))を用いて、sin(arctan(a)+arctan(b))を求める場合、
sin(arctan(a)+arctan(b))=sin(arctan(a))+sin(arctan(b))=a\sqrt{1+a^2}+b\sqrt{1+b^2}
となる。この式は、arctan(a)とarctan(b)の和を求めることなく、aとbから直接求めることができる。
まとめ
アークタンジェントの加法定理は、arctan(a)+arctan(b)=arctan\left(\frac{a+b}{1-ab}\right)であり、三角関数の式を簡単にするために用いられることがある。この定理は、a,bがどのような実数でも成り立つ。