「貴様」、「お前」は昔尊敬語だったけど、今はなぜ普通語になったのか?

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日本語には尊敬語、謙譲語、丁寧語、敬語など、様々な言葉遣いがあります。その中でも、「貴様」や「お前」は昔は尊敬語として使われていましたが、今では普通語として使われることが多くなりました。

「貴様」と「お前」の意味と由来

まず、「貴様」と「お前」の意味と由来について説明します。両方とも「あなた」という意味がありますが、使い方によっては侮蔑的なニュアンスが含まれることもあります。

「貴様」は、「貴方様」という言葉が略されたもので、もともとは尊敬語として用いられていました。しかし、江戸時代に入ると、庶民の間で身分の低い人に対して使われるようになり、侮蔑的な意味合いが強くなりました。

一方、「お前」は、もともとは「尾前」という言葉が略されたもので、平安時代には貴族の間で使われていた尊敬語でした。しかし、江戸時代に入ると、庶民の間で広く使われるようになり、やがて侮蔑的な意味合いが強くなりました。

「貴様」と「お前」の現代の使い方

現代では、「貴様」と「お前」は、主に男性同士の間で使われることが多くなっています。また、侮蔑的な意味合いが強いため、相手に対して失礼な印象を与えることがあります。

しかし、一方で、「貴様」や「お前」は、親しい間柄の人同士や、上下関係が明確でない場合など、適切な使い方があるとされています。

たとえば、友人同士であれば、「お前、今度一緒に飲みに行かないか?」というように、軽いタッチで使われることがあります。また、上司や先輩が後輩に対して「貴様、その仕事はもう終わったか?」というように、厳しい表現であっても、適切な場合があるとされています。

「貴様」と「お前」が普通語になった理由

「貴様」と「お前」が普通語になった理由には、いくつかの要因があります。

まず、戦後の混乱期には、多くの人々が生きるために必死に働きました。そのため、言葉遣いよりも生活を維持することが優先されるようになり、尊敬語や謙譲語を使う習慣が薄れていったとされています。

また、戦後には、アメリカなどの外国人が日本に入ってきました。彼らは、日本語の敬語を理解していなかったため、日本人同士でも敬語を使うことが減り、結果的に「貴様」や「お前」が普通に使われるようになったとされています。

さらに、若者の間では、敬語を使わないことがカッコいいとされるようになり、それが広く受け入れられるようになったことも、「貴様」と「お前」が普通語になった要因のひとつです。

「貴様」と「お前」の使い方について

「貴様」と「お前」は、現代では侮蔑的なニュアンスが強いため、使い方には注意が必要です。

まず、相手が年上や上司など、自分よりも身分が上の場合には、敬語を使うことが望ましいです。また、初対面の場合や、公的な場での会話などでも、侮蔑的な言葉遣いは避けるべきです。

一方で、親しい間柄の人同士や、上下関係が曖昧な場合には、「貴様」と「お前」を使うことが適切な場合もあります。ただし、相手がその言葉遣いに抵抗を感じる場合は、違う言葉遣いに変えることが望ましいです。

まとめ

「貴様」と「お前」は、昔は尊敬語として使われていた言葉でしたが、現代では普通語として使われることが多くなりました。その理由には、戦後の混乱期や外国人の入国、若者の文化など、様々な要因があるとされています。

ただし、侮蔑的なニュアンスが強いため、使い方には注意が必要です。相手の身分や状況に応じて、適切な言葉遣いを心がけることが大切です。

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